詩集『大江山』
谷口謙/著

悲しみを文字にして悲しみを和らげることが出来るなら

雨の窓の前に座り

いくらでも詩の形を作っていこう

腕力では 胆力では 適わぬから

せめて 

詩を書こう



ISBN978-4-8120-1896-5 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『廻るときを』
川中子義勝/著

寡黙である。

言葉を光源にして、時代の闇に目を凝らすだけ。

音叉となって、世界と響き合うばかり。

口にするのは純粋な虹や雲のかけら。

風に向かい、顔を上げて真っ直ぐ歩いていく。

痛みや悲しみが後ろから呼ぶが、振り向かない。

彼は詩人だから。
(一色真理)

ISBN978-4-8120-1890-3 C0092 
定価2625円(5%税込)

詩集『いつもと同じ朝』
秋山公哉/著

彼の詩の地平に、手を切られた千手観音が現れる。時代の痛苦を抱いて。

この眼差しの深さは、思うに秋山公哉が二十数年ロマンチシズム体験でわがものにした〈遥かな思慕〉とでもいうべきものに繋がっているように思われる。(石原武・跋より)



ISBN978-4-8120-1893-4 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『いとしき日々』
長谷川昭子/著

長谷川昭子の詩は、思い出の中で木漏れ日が揺れる、里山の陽だまりのようだ。

ほんのりとしたぬくもりと懐かしさに目を閉じると、どこからか詩人の静かな声が聞こえてくる。「まあ ひと休みして行かれませ」
(一色真理)



ISBN978-4-8120-1896-5 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『ガリレオの独白』
埋田昇二/著

宇宙に思いを巡らす時、「宇宙に生命体は存在するのだろうか」、とりわけ「知的生命体は存在するのか」、それとも「地球は宇宙でただひとつの孤独な存在なのか」はかならず抱く「問い」です。一三七億年前、宇宙は灼熱の「ビッグバン」誕生の前に、時間や空間さえも存在しない「無」のゆらぎから生まれたという最新の宇宙創成論には、詩人の想像力を遥かに超える神秘を感じます。


ISBN978-4-8120-1882-8 C0092 
定価2625円(5%税込)

詩集『プロフェッショナル』
武西良和/著

プロフェッショナルは「技」を磨く。

技を支えるのは「繰り返し」。

砂に何度も突き刺された鉄が

光り出すように、

プロフェッショナルは試行錯誤しながら技を磨く。

ISBN978-4-8120-1900-9 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『異婚』
河井洋/著

この先には見てはいけないもの、知ってはいけないものがある。第二の敗戦とも言われる不安な時代の、タブーへの挑戦を都市伝説として描いた、怖くて甘美な異貌の譚詩集。
(一色真理)



ISBN978-4-8120-1889-7 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『石のいた場所』
愛沢革/編著

散文詩でない散文の詩。
鎮めてはいられない記憶が詩行の中で破裂して、
散文でなくてはならない散文になっていった詩だ。
作品「父の小石」の潜思なかなしみを見よ。
(金時鐘)


ISBN978-4-8120-1892-7 C0092 
定価2625円(5%税込)

エッセイ集『詩の音』
中村不二夫/著

野球少年中村不二夫の投げる連投はおそらく屈折していなかった。

不運な運命に生まれながら、彼が還暦の今日まで果たしてきた詩的営為は見事な直球である。
(石原武・解説より)

ISBN978-4-8120-1863-7 C0095 
定価2625円(5%税込)

詩集『エス』
一色真理/著

父はぼくが殺した。

エスには、ぼくとそっくりだけれどちょっと違う
もうひとりのぼくがいる。
エスでは、世界と反世界が相対する。
「鏡」と題するふたつの詩を合わせ鏡にして。

ISBN978-4-8120-1885-9 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『風の葬列』
築山多門/著

こんなボクで よかったのかい
言葉にはきっと力がある。たとえば「愛しています」というひとこと。
それはセピア色の時間の中でけっして色褪せず、
今も哀しいとき、淋しいとき、心にあたたかな明かりをともしてくれる。

ISBN978-4-8120-1880-4 C0092 
定価1680円(5%税込)

『詩と思想詩人集2011』
詩と思想編集委員会/著

ひとりじゃないよ。
悲しんでいる人、夢をなくした人がいる。
いま詩にできるのはただ寄り添うことだけかもしれない。
大震災をこえて、明日へと届けたい。
詩人274名の言葉のぬくもりを。

ISBN978-4-8120-1902-3 C0092 
定価2800円(5%税込)

新・日本現代詩文庫90『梶原礼之詩集』
梶原礼之/著

ぼくを恐れる鈴蘭の娘よ
真珠の胸をした年上の娘よ
燃えつきた石炭がらに湿った生卵をうむな
きみは乳房の網で詩人の真実をねらえ
(「ムササビの羽ばたき」より)

一九三九年、北朝鮮生れの彼と北海道生れの筆者はともに戦後を越後で育ち、精神的に同世代だ。二人の私史は微妙に一致し、またどこか行き違う。彼の詩に同族意識と嫌悪を感じながらも読んでしまう自分を、否定できないのはやむをえない。彼の足跡もまた右往左往しているのだ。
(中略)
梶原は安吾文学に傾倒し、研究もある詩人である。すでに世界の状況に批判の姿勢を貫いてきた彼は個人史及び郷土論をフィクション詩で試みた。彼の二重の故郷意識は複眼的で葛藤そのものである。
幼い時に離れた故郷は黄金郷であるらしい。過去の断片にいま生きる自己を重ね合わせながらつづけた黄金郷探検を彼の詩業とみて差し支えないだろう。黄金の羊毛、聖杯、あるいは聖衣を探す旅に似るのか。言ってしまえば、徒労だ。険しい旅がつづくだけで、ついに見つかりはしない。しかし人生は旅、詩は旅。発見のない黄金郷をあぶり出すために彼は新潟をも否定しつづけねばならなかった。
(経田佑介・解説より)

ISBN978-4-8120-1898-9 C0192 
定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫89『赤松徳治詩集』
赤松徳治/著

レントゲンのように
肉をとおして
見えないものに形を与えようとする
愛とは何か
(「閉める」より)

“目には見えないが存在するもの”“形はあるがとらえがたいもの”に心ひかれる、と赤松さんは第四詩集の後記で述べているが、多くの異文化に接しながら、この人の目線はつねに低く、全詩篇、その関心は人間の哀歓の底を流れる“目には見えない”そして“とらえがたい”しかし、“存在する”何か、であることが納得できる。(伊勢田史郎・解説より)

人民と名づけられた国家の人民は、なぜ特権階級に苦しめられるのか。訳詩集を三冊出した氏は、原書に共感したからだ。独ソ戦を取りあげながら、現象として似通った部分を持つ詩は、スターリン体制に対する、メタファーだったとも読めよう。『風を追って*雲を追って』は、訳詩集に通じるテーマがある。
(三宅武・解説より)






ISBN978-4-8120-1888-0 C0192 
定価1470円(5%税込)

詩集『ガラスの中の言葉達―お部屋だけのあなた―』
由羽/著

「お部屋だけのあなた」は作者に最初、「ヒト型ロボット」としか見えなかった。
けれど、その人は作者の魂の叫びを確かに聴き取り、涙さえしてくれたのだ。
絶望と孤独のはざまで、体験と感謝を詩として綴り始めた作者に、その人はこう言ったという。
「由羽さんは一度死んだ。そして言葉を得て生き返った……」
(詩人・一色真理)

ISBN978-4-8120-1869-9 C0092 
定価1680円(5%税込)

エリア・ポエジア叢書20『浄夜』
花井肖子/著

還れる? 土へ

どんなに嬉しい朝でも どこかに悲しみがある。

心の内側からふくらみながらあふれて来るものがある。

たとえばこの皮膚のした、たとえばこの喉のおく。


ISBN978-4-8120-1883-5 C0392 
定価1890円(5%税込)

詩集『月光苑Ⅲ』
大原鮎美/著

積み上げられた家族たちの写真のうえに
黒く縁どられた桜の花がふりしきる
だまされるのはもういやだ
まだされるのはいやだ

「福島原発事故」


ISBN978-4-8120-1886-6 C0092 
定価1680円(5%税込)

詩集『泰山への道』
則武一女/著

つまって言葉にならない時、
そっと紙と鉛筆が出て来る(中国語の勉強)―
人民と人民との交流、
国家と国家とは違った人民同士のつき合いが
民族外交を決めるだろう。
(井奥行彦)


ISBN978-4-8120-1884-2 C0092 
定価2100円(5%税込)

詩集『西安悠遊』
―日本語・中国語対訳版―
前川幸雄/著 易洪艶 韓率/訳

 2007年4月に発行されたこの『西安悠遊』が、中国語訳を並記して出版されるが、中国の歴史上の人物や西安の友人などについて書かれており、先生の誠実な人柄の表れている内容が、中国の人たちにもしっかりと感動を与えるものと確信する。
(福井市日本中国友好協会 副会長 小林忠男・序文より)

ISBN978-4-8120-1876-7 C0098 定価1000円(5%税込)

詩集『白い闇』
市川つた/著

あれよあれよと日が暮れていく
喜寿を過ぎて傘寿に近づいた今だからこそ見えるもの、語れる言葉がきっとある。
老いたら老いた詩、病んだら病んだ詩、大切な人を失ったら悼む詩を、
素直にわかりやすく書いていきたい。

ISBN978-4-8120-1879-8 C0092 定価2100円(5%税込)


宗左近対訳詩選集
『炎える母・抄 その他の詩』
井嗣夫/編 中田紀子 牧野はるみ
スティーブン・トスカー/訳

詩人は心のなかで見えない炎に焼かれつづけている。記憶の炎のなかで、母も炎えつづけている。炎の海から立ち去らないこと、炎える母を見つめ、みずからも炎えつづけること。それは、際限のない苦しみを自身の内部に引き受けることである。
(笠井嗣夫・解説より)

ISBN978-4-8120-1861-3 C0098 定価2100円(5%税込)

詩集『のざらしの唄』
髙部勝衛/著

詩は精神の踏み板をたえず鳴らしつづけながら、踏み板を踏みはずさない心の躍動を保って詩の神様との対話を構築していかなければならない。日常の小咄が詩文学に入り込む余地はないのだ。髙部氏の詩には、心の躍動と詩の独自の若さとが相まって、年齢を忘れて詩の奥深さに引き込んでくれる醍醐味がある。
(西岡光秋・解説より)

ISBN978-4-8120-1881-1 C0092 定価2100円(5%税込)

詩集『よみがえる時のなかへ』
関根龍典/著
井嗣夫/編 中田紀子 牧野はるみ

老年を迎えた者に喜びは多くはない。
だが、心ゆくまで孤独を楽しむための豊かな時間がある。
今は人生の秋。無言の対話にふさわしい相手が、
自らの中に黄金の稲穂のように円熟する季節だ。

ISBN978-4-8120-1872-9 C0092 定価2100円(5%税込)

詩集『ハッキョへの坂』
河津聖恵/著

風のような何かが背中を押した。
世界の沈黙に抗うために、この詩集は編まれた。
朝鮮学校無償化反対という、
闇から希望へと向き直る花の力から生まれた作品群を中心に、
他者へと燃え渡されていく20の詩篇。
ISBN978-4-8120-1868-2 C0092 定価2100円(5%税込)

詩集『賑やかな眠り』
宇宿一成/著

この詩集に「いのち」と「死」という言葉は
どちらが数多く出てくるでしょう?
多分、「いのち」の方がほんの少し多いはず
(と思いたい)。でも本当は……。
いえ、「数える」のはやめにしましょう。
大切なのは言葉を「生きる」こと。
この詩集は私たちに、そう語りかけているのです(一色真理)

ISBN978-4-8120-1854-5 C0092 定価2625円(5%税込)

詩・エッセイ遺稿集『歸港』
髙木昌司/著

心もろいことには
まことの勇気もひそんではいないか
あぁ わたしのやさしい心の片隅よ
心もろいことはこころの草の中で
強く伸びようとする一本の根なのだ。(「こころ脆いとき」より)

ISBN978-4-8120-1870-5 C0092 定価2100円(5%税込)

新・日本現代詩文庫84『香山雅代詩集』
香山雅代/著

こころの片すみには
絶やすことなく 悲しみの部分
を たくわえておこう
(「世界が円筒にみえたところから」より)

ほぼ同じ世代を生きてきた私など、ひもじい戦中戦後の体験と、その記憶に言葉を奪われ、戦後詩の熱病に冒されるまま、憤怒と悔恨の情念を食いつぶしてきた思いがある。しかし、香山さんにはそれがない。本当に一途に人と事物の存在の本質に、錘を下ろしていく。焼け跡の校舎で耳にした謡曲のあの声の呪力が運命的に道を示したのだろうか。(石原武・解説より)

香山雅代は、詩における精神の核と認識の凝縮性。そこから生ずるところの跳躍やためらい、不安やうつろいを、己れに問いかけ、他者に、あるものの予感を与え、さらに消え、現われては亀裂する内的衝動の表象としてのイマージュと言葉、それらを、受けとめる側にあずけておいて、つぎなる瞬間に自ら立ち会うことの出来る詩人といってよいと思う。(丸地守・解説より)
ISBN978-4-8120-1867-5 C0192 定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫86『福原恒雄詩集』
福原恒雄/著

もうおとなしい屍体ではおれない。きっと
生きている母のために、角の花屋で買って
握りしめていた花束を、記憶を仮装してで
も、探しにでかけなくては。
(「探しにでかけなくては」より)

これまでわたしが感じてきた〈奇妙〉な印象は、おそらくかれ独自のレトリックからやってきている。それは詩においてなにかを表現するための方法ではなく、かれにとっての文体の必然性からやってきた。またそれは、かれが世界をみる思想的な〈斜視〉からきている。ひねくれ、とか意固地ではなく、かれのスタンスが傾いていること――それこそがまっとうな姿なのだ。(坂井信夫・解説より)

いわば福原にとっての詩とは、戦前は被教育者の一人として、戦後は教育を施す側の一人として、こうした歴史の虚構性をつぶさに追体験していくことの意味にほかならない。それは個々の状況に対し、具体的な行動を起こすものでも、内側で何らかの抽象的な答えを出していくものでもなかった。福原の詩の特徴は、つねに外部状況からは孤立したまま放置され続けている。(中村不二夫・解説より)

ISBN978-4-8120-1877-4 C0192 定価1470円(5%税込)

新・日本現代詩文庫88『山下静男詩集』
山下静男/著

落ちる物は
無意識のうちに落ちて
ぼくの皮膚は少しも傷付かなかった
落とせといわれた物は
ぼくの内臓がちぎれるようで
しっかりと胸に抱いた
(「落とす物は」より)

夏こそが詩人山下の生の季節なのだ。夏は岡山市の空襲であり、学徒動員であり、学徒兵の訓練であり、血縁の召集と戦死の季節であり、日本の季節なのだ。山下は被害者としての少年であり、良心とも言える妻の責めであり、愛であり、彼女の急逝であり、世界の海を救いもなく浮遊するクジラでもあるのだ。遍路の終着点は夏なのだ。(井奥行彦・解説より)


山下静男さんの詩は、静かな内省の詩だ。他者の言葉や世界の在り様に耳を傾けて、その意味を確かめて、いま自分の置かれている情況の中で、他者との関係を考えている。人を驚かしたり知識を散りばめたりする手法ではないが、その問いかけの仕方は、いつも自己の内部に向けて切実な試みである。(鈴木比佐雄・解説より)

ISBN978-4-8120-1878-1 C0192 定価1470円(5%税込)